近未来、火星へと向かう前の4人の宇宙飛行士にある訓練が行われました。
それは長期間の宇宙空間に耐えうる精神力を鍛える為の心理実験で地下施設で400日過ごすというもの。
400デイズあらすじ
4人のメンバーとは、船長役のセオ・クーパー、医療カウンセラーのエミリー、エンジニアにして今回の実験のネット配信を行うコール、そしてあらゆる宇宙船内の実験を担当するバグ・キエブロウスキです。
中年のコールやエミリーを除くと、他2人はまだまだ若く未熟な青年。
そんな彼らがケプラー科学社主催、ウォルター・アンダーソン仕切る実験の為、外界と遮断された広大な地下施設に入っていきました。
しかしこの実験、始まった直後から何かがおかしかったのです。
SF映画というよりもホラーサスペンス
映画DVDのジャケットや「宇宙飛行士」いうワードを聞くと、SFかとおも思える本作ですが、実態はホラーサスペンス。
400日過ごす実験が開始され、始めのテストが終わると、すぐに管制センターであるウォルター・アンダーソンと連絡が取れなくなります。
また外界と遮断され、日の光も当たらない地下施設は、真っ白なデザインを基本として、清潔感はありながらも、とても殺風景。
そういった空間的、視覚的要素も合わさって、明らかに4人の心理状態は変わってきます。管制と連絡が取れない事も不安を増大させ、それも訓練の一貫と思って過ごそうとする彼らですが、だんだんと心に余裕がなくなって……。
初めから人間関係にはギクシャクしていたのに更に…
かつてセオとエミリーは、恋人同士の関係。しかしこの実験の前に別れ、その精神状態は最悪。
エミリーは何とかそれを隠して大人の対応を見せ、実験、仕事に専念しています。しかしセオの方はあからさまにそれを引きずっており、度々実験中でも彼女や仲間にあたる事が多くありました。
バグは見た目は好青年(大人)ながらも、精神年齢がどうも幼く、周りとズレが生じています。
というのも彼は子持ちの父でもありましたが、幼くしてその子を亡くしており、決して精神状態が万全ではありません。
4人の中では一番年長で屈強そうで、また天真爛漫に見えるコールも、この閉鎖的空間の息苦しさには耐え難く、唯一コミュニケーションを取るメンバーがそういう状態なので、それに巻き込まれていきました。
一番大丈夫そうなコールから「壊れていく」
時に豪快で楽観的なコールでしたが、200日もすると4人しかいない地下空間で、精神的に孤立します。
年齢も違えば、性格も違う、またコミュニケーションも取りづらいメンバーばかりでは仕方ありません。
しかし事はそれに収まらず、少しずつ彼の心は病んでいきました。時に出てもいない出血が、顔中に見え、それを鏡を見ながら拭こうとしても、余計に顔が真っ赤に染まっていったりと、相当に彼はまいってしまいます。
医療カウンセラーのエミリーに見てもらってもそれは収まらず、興奮状態が続きました。またバグも亡くなった自分の子供が見えてしまったりと、セオやエミリーは手に負えなくなります。
現実と幻覚の区別がつかなくなる
373日が経った時、突如地下施設の上からガンガンと異音が聞こえるようになりました。コールがそれを確認しにいくと、上半身裸の男がこの地下施設に侵入してきたのです。
その男はやせ細り、薄汚れた白すぎる人物でした。
精神状態がおかしいコールだけでなく、それは他のメンバーにもしっかり見えていました。これは紛れない現実です。
その男は侵入して何をするというわけではありませんが、不気味でしかありません。しかしその後、セオやエミリーまで施設内で肉体的な息苦しさに襲われます。
命の危険にまでさらされた4人のメンバーは、400日が経っていないものの、外へ出ることを決意しました。しかし施設から出た久しぶりの地上は、真っ暗で酷く寒々しい、ほとんど何もないような世界となっていたのです。
巨大なドームの中で、これも実験だとコールは無理やり思い込もうとしますが、現実は違いました。
400日後を迎えた時、何が起こったのか
実験開始時と明らかに違う場所にいることに、4人のメンバーは戸惑いを隠せません。しかも異様に暗く、寒々しい地上を受け入れられません。
何とか誰でも良いから人に接触してこの事態を把握しようとして、何時間も歩き続けます。するとやっと人のいる町にたどり着きます。
しかしそこにいる人々は皆暗く、しっかり会話が通じません。そんな中、飲食店のゼルという男に誘われ、食事を振る舞われます。
思わせぶりなことばかり言う彼に、メンバーはより混乱させられます。突如として暗い世界になったことはわかったものの、その原因は全くわかりません。さらにゼルの言動の怪しさから、セオやエミリーはその場を離れようとしますが、久々の地上にコールは言うことを聞きません。しかも女遊びをしようとする始末。
まさかそれが彼を見る最後の姿とは思わなかったです。バグもまた、居もしない子を追いかけている内に、消えてしまいました。
そしてセオはついに「あの男」と同じ白い人間が檻の中に閉じ込められているのを見つけ、ふいにその男を助けますが、偶然なのかそばにいた調理中の中年の女性に包丁で刺されてしまいます。
幸い怪我で済みますが、セオとエミリーは地下施設に逃げ帰りました。ところが、何故かゼルといった町の人間数人が凶器片手に施設に乗り込んできました。
それでも何とかセオとセミリーは彼らを倒し、ちょうど「400日」が終わりました。予め録画してあったであろう管制センターのウォルターのビデオが「おめでとう」と施設内のスクリーンに流されますが、それが終わると同時に、施設内にまた誰かが入ろうとしてきます。
それに恐怖しながらセオとエミリーは唯一の出入り口を見つめて、お話は終わってしまいます。続編を出すことで完結できそうですが。
「何がなんだかわからない」という意味で、ホラー感がよく出た作品となっていました。