夏休みや冬休みの宿題で大変なのが読書感想文。子供におすすめの本を教えてといわれても困っちゃいますよね。そこで小学校5~6年生におすすめの本を紹介します。
スズメの大研究 国松 俊英
人間にいちばん近い鳥のひみつという身近な鳥だからこそ興味を持ってほしい。本当の姿は意外と知られていません。
みんなの知らないスズメの生態から人間との関係がわかるような一冊です。
害虫などと思わず、スズメの良いところや習性を学ぶことが出来ることです。「人間の住むところにスズメはいる」「スズメは米の汁が好き」「古典と昔話にスズメがいた」「スズメの研究者に話を聞く」「第三のスズメ、イエスズメが日本にやってくる」などは大きな見出しになっていますがとても面白くスズメについて知ることが出来ます。
あまり注目やスポットの当たらないスズメですが、改めて意識してみると面白い鳥で、楽しく読むことが出来ると思います。
夏休みの自由研究とあわせて利用できるのもポイントが高い本です
だれも知らない小さな国 佐藤 さとる
佐藤さとる著のだれも知らない小さな国は、小学校高学年の子ども達におすすめの一冊です。主人公「ぼく」が入り込んでいく、コロボックルの物語。
私も小学生の時に読んだのですが、この世界観が素敵で、どんどんシリーズを次から次へと読みたくなる作品です。コロボックルは空想の世界の登場人物であることはわかっていながら、そのあたりにいるのではないかと、大人でさえ思ってしまいます。
想像力が豊かな子どもが読んだら、どんどんとその世界は子どもごとに広がっていくのでしょう。このシリーズを読んでいる間は頭の中はコロボックルでいっぱいになります。
こういう本を読むと想像力が養われるのだな、という本の代表と言ってもいいと思います。多くの子ども達に是非読んでもらいたい一冊です。
僕らのサイテーの夏 笹生 陽子
まずオススメの点は主人公が小学六年生でその目線で物語がすすむことです。一人称も彼で難しい言葉や漢字は少な目です。
主人公の桃井は夏休みの前に「階段落ち」というゲームで勝負をしていたのですが、それによって怪我をしてしまいます。これにより「僕らのサイテーの夏」が始まります。
階段落ちの罰として怪我をした桃井に与えられたのはプール掃除。それも階段落ちで負けた栗田と一緒にすることになりました。
オススメの点その2はページ数が少なくて読みやすいところ。それでも内容は濃いです。
主人公や引きこもりがちな兄、母親、主人公の友達であるカバちゃんやその家の事情。そして一緒に罰掃除をする栗田とその妹。たくさんの物語が含まれています。
笹生陽子さんのデビュー作で今から20年ほど前の作品ではあるけれど、最近では話題の子供の友人関係、子と親の関係、ひきこもり、等がテーマになっており今でもとても好感をうける本だと思います。
東京バンドワゴン 小路 幸也
東京バンドワゴンは小路幸也が書いた小説で、その後シリーズ化もされている人気小説です。堀田家という下町に暮らす家族が中心のお話です。
その堀田家というのは大家族で、79歳の「勘一」、勘一の一人息子60歳伝説のロッカー「我南人」、我南人の娘でシングルマザーの長女「秋実」、我南人の長男「紺」そして実家とは絶縁状態の紺の嫁「亜美」、愛人の子である次男の「青」と、登場人物を紹介するだけで問題は山積みの不思議な大家族です。
その大家族のもとに、沢山の他人様からの問題が舞い込んできます。お節介にも積極的に解決への手助けをしながら、自分たちの問題を見直していく様子は、昔ながらの日本の暖かさがあり、じんわりとした感動が味わえます。近年で忘れかけている、家族と他人との暖かい距離感を教わることのできる小説だと思うのでオススメです。
また、堀田家の会話はクリと笑ってしまうような日常にありふれた会話で、サクサクと読めてしまいます。涙と笑いが交じり合う家族の絆が沢山の人に伝わって欲しいです。
兎の眼 灰谷 健次郎
私も10代前半頃に読んだ本で、小学校5、6年生のみなさんにお勧めしたい本があります。それは、灰谷健次郎さんの著書「兎の眼」です。
主人公は小谷先生と言う新任の小学校の先生です。
小谷先生が担任をしているクラスで、クラスで飼っていたカエルが殺される事件が発生します。
事件を起こしたのは、小谷先生の受け持ちのクラスの生徒である鉄三と言う少年です。
なぜ、そのような残酷なことをしたのかを鉄三は何も語らないので、小谷先生は他の教師や鉄三の近所の子どもたちから情報を得ようと奮闘します。
最初は鉄三からそっけない態度を取られたり、彼の気持ちがなかなか理解できなかったり、「鉄三は問題児だから」と言ってあまり関わりたがらない他の教師からの圧力などがある中、協力してくれる教師や鉄三の近所の子どもたちなどのサポートを得て、小谷先生は彼の心に歩み寄ろうとします。
時にはそれがうまくいかないこともありますが、鉄三は少しずつ小谷先生には心を開いていくようになります。
鉄三が小谷先生に対してなら少しずつ心を開き始めた頃に、障害のある少女みなこが転校してきます。
みなこが転校してきて、障害児が健常児と同じクラスで学ぶことを良く思わない保護者がいて、保護者の間からクレームが出ます。
小谷先生は、みなこもクラスメイトの1人だから、みなこだけを排除するわけにもいかないと考え、クラスメイトが2人1組で、みなこの面倒を見る「みなこ当番」というのを設け、交代でみなこの面倒を見るようにしました。
この物語の時代背景が昭和40年代頃で、今の時代とギャップのあるところがあるかもしれませんが、問題児や障害児だからと言って排除したり、いじめたりするのではなく、彼らと共に喜んだり、泣いたりしていくことの大切さを伝えているよう思うのでお勧めしたい一冊です。
アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス
マウスの脳を弄り、賢いマウスになります。知的障害者の主人公は頭が良くなりたいと同じ手術を受けます。アルジャーノンは、主人公のチャーリーがマウスにつけた名前で、アルジャーノンをとても可愛がります。たくさんの人が知っている名作です。
まず、主人公のチャーリーがみんなと賢くなって仲良くなりたいと願う優しく純粋な青年であることが小学生の心に響くと思います。
私のオススメのポイントは、チャーリーが天才になってからの出来事たちです。大学に通い、普通以上の大人のような暮らしをはじめます。最初は充実しているように感じます。読んでいる小学生もほっとすることでしょう。
しかし、今まで知らなかった悲しい現実を知ることとなるのです。実はみんなに馬鹿にされていたことや知的障害が原因で母親に捨てられていたことです。
読んでいると胸が苦しくなり、泣きそうになるシーンです。チャーリーは、願っていた賢い自分に苦しむ結果になるのです。
手術は成功し、チャーリイのIQは68から徐々に上昇し、数ヶ月でIQ185の知能を持つ天才となった。チャーリイは大学で学生に混じって勉強することを許され、知識を得る喜び・難しい問題を考える楽しみを満たしていく。
だが、頭が良くなるにつれ、これまで友達だと信じていた仕事仲間にだまされいじめられていたこと、自分の知能の低さが理由で母親に捨てられたことなど、知りたくもない事実を理解するようになる。
さらに、チャーリーには試練が訪れます。アルジャーノンの知能が下がって行くのです。このままでは、以前の知識よりも低くなってしまうことを賢いチャーリーが調べ、知るのです。アルジャーノンに花束を、は人の心を分かりやすく表しています。小学生の心に強く響く悲しいシーンです。
チャーリーは知能をもとに戻す手術を受けます。
この物語の一番の名台詞は、最後の一行です。ひらがなで亡くなったアルジャーノンへの想いを日記に書いています。ハッピーエンドとは言えません。しかし、小学生の心に響く、名作です。読書感想文に、オススメの作品です。
うわさのズッコケ三人組株式会社 那須 正幹
那須正幹先生の書いたズッコケ三人組のシリーズは数多く出ているが、このうわさのズッコケ三人組株式会社は私が最もハマった本です。
主人公であるハチベエ、ハカセ、モーちゃんの3人が夏休みを利用して弁当屋を経営するという話ですが、単なるおままごとのようなことではなく、しっかりと会社として成り立たせるためにマーケティングから仕入れといった経営戦略を緻密に立てて、商売を行っていくところがとても面白い。
あまりビジネス本のような内容になっても難解なので、小学生にも分かりやすいようにシンプルかつわかりやすい言葉をつかったり、経営戦略も立てやすい周辺状況にしているということもあるので、小学生でも将来自分で会社を作りたいと思っている子にはもちろんのこと、働くこと、お金を稼ぐということの厳しさを面白さを加えながら描いているところが秀逸です。
ぜひ読書感想文には自分だったら、どのような経営戦略でやるのがベストだと思うのか、最終的なズッコケ3人組の株式会社の結末とともに考えて書いてほしい作品です。
夏の庭 湯本 香樹実
高学年の読書感想文におすすめの本は、湯本香樹実さんの「夏の庭」です。主人公は小学6年生のぼくと、友だちの山下くんと河辺くんです。
町のはずれに一人で暮らしているおじいさんが死んでいく様子をみたいという好奇心から、夏休み中におじいさんを観察し続けます。そのうちにおじいさんが子どもたちに気がつき、そこから3人の少年たちとおじいさんの交流が始まります。
核家族化が進み、子どもと高齢者などの斜めの関係が気づきにくくなっています。
好奇心でいっぱいの子どもたちと、人生経験豊富なおじいさんとのやりとりは、人間と人間の正直な気持ちのぶつかり合いが感じられて、とても素敵です。
友情、大切な人との別れを経験する夏休みのワンシーンが強烈な印象をもって語られます。親子で一緒に読んで、死について話し合ったり、ゆっくり考える時間を持つのもいいでしょう。
ちいさいモモちゃん 松谷 みよ子
小学校5~6年生におススメの小説は「ちいさいモモちゃん」です。
このお話は主人公のモモちゃんの成長の過程が書かれています。作家は松谷みよ子さんです。この本はとても読みやすい本です。
シリーズものなので、どんどん読み進めて行くと、モモちゃんの妹のアカネちゃんが出てくるシリーズもあり、モモちゃんの姉としての一面も見られてとてもこころ暖まるお話となっています。児童文学なので文字の大きさ、漢字の使い方も読みやすく、小学生にとってはハードルが高くない本だと思います。
モモちゃんの心情の移り変わり、なにに恐怖を覚え、なにに感動して、なにを嬉しく思ったのか、人間らしさにあふれた描写に注目してほしいです。小学生からみて、幼い子どもの気持ち、を感じてほしいです。
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