2014年にスペインで制作されたドキュメンタリー映画「パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト」。
世界的なフラメンコギターリストであるパコ・デ・ルシアの息子クーロ・サンチェスが監督として父親の姿を映しています。
66歳でこの世を去った天才的な才能を持つミュージシャンの実像が、息子の綿密なリサーチから浮かび上がっていきます。
速弾きの天才パコ・デ・ルシア
超絶技巧の速弾きや天賦の才とも言えるテクニックで、多くのファンを魅了しました。
2010年から滞在先のメキシコで心臓発作で亡くなるまでの4年間。パコ・デ・ルシアのギターの対する圧倒的な執念が「パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト」から伝わってきます。
フラメンコの世界に革命を起こした功績だけではなく、世界のギター史にその名を刻んだパコ・デ・ルシアですが、7才で始めてギターを手にした初々しさあふれる姿や、12歳でプロデビューしたときの当時の映像が微笑ましかったです。
パコ・デ・ルシアの生き様
フラメンコの聖地であるアンダルシアに留まることなく、パコ・デ・ルシアは世界をめぐってチャレンジしていきます。
ジャズやフュージョンなどの異なるジャンルの音楽との共演を積極的に取り組んでいく姿勢からは、寛容性が感じらます。
1979年のアル・ディ・メオラとジョン・マクラフリンで結成されたスーパートリオは、アコースティックライブの到達点とも言えるでしょう。
カルロス・サンタナやチック・コリアをはじめとするミュージックシーンのレジェンドたちの証言からは、誰からも愛されてパコの人柄が伝わってきました。
名盤「Cancion Andaluza」はぜひ聞いておきたい
最後のアルバムとなってしまった「Cancion Andaluza」は、60年間の創作活動を締めくくるのにふさわしい名盤です。
膨大な数に上るインタビューと貴重な映像からは、ヒーローではないパコの素顔が映し出されていました。
孤独を愛しながらも、心の中では自分と同じ仲間を求めてしまう人間味あふれる人柄。
「パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト」の見どころといえば、豊かな自然に囲まれているマジョルカ島のパコの自宅の中で、プライベートを語っている貴重なシーン。
コンサートやレコーディングに対するこだわりだけではなく、芸術や政治更には自らの人生観を語っています。
スクリーンを通してパコのコンサート会場の観客のひとりとなり、至福の音楽と迫力満点のパフォーマンスを体験することができます。
パコが残した音楽がいつまでも生き続けるために、多くの人に見ていただきたいです。