強大なローマ帝国の力は、多くの異民族を迫害していました。ケルト人もその一例で、のちの元老院議員となるコルヴス率いるローマ帝国軍に虐殺されようとしていました。その中でケルト人の少年マイロは命からがら逃げ延びます。
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『ポンペイ』あらすじ
途中で帝国軍に見つかってしまい、奴隷にされてしまいました。人としての扱いを受けられず、汚く貧しい生活を敷いられますが、それでもマイロはたくましく成長していき、剣闘士(グラディエーター)として名を馳せるほど屈強な男性となりました。
でも奴隷は奴隷。そんな彼でも、剣闘会に参加する際の移動では手錠をつけられ、罪人の如く連れて行かれます。とある時、その列の横をポンペイの有力者セヴェルスの娘カッシアを乗せた馬車が横切りました。
ところが馬車がぬかるみにはまった事で、馬が倒れ怪我をしてしまいます。マイロはそんな馬を助けようとして、運命の女性カッシアと対面したのです。
大災害をバックに燃えるような2人の恋
古代都市ポンペイで実際に起きた大災害を表現しつつ、奴隷マイロと富豪の娘カッシアのラブストーリーが展開されます。身分違いの恋ながらも、互いを思いやる姿がけなげでした。たくましく男らしいマイロは荒々しくも細かな気遣いを見せています。
その為、身なりは汚くても奴隷マイロは「白馬に乗った王子」に十分見えたものです。カッシアもまた自分を犠牲にしてでも彼を守ろうとする姿が多く、2人の愛は本物でした。そして彼らに襲いかかるポンペイの大災害もまたよりこの恋を引き立ててくれました。危機的状況に陥るほど、恋は燃え盛ったのです。
愛を邪魔する悪役コルブス議員
カッシアがそもそも馬車でポンペイに帰ってきたのは、ローマでコルブスに強く言い寄られた為でした。彼の悪どさはカッシアも気づいており、彼女が夢見る理想の男性像とはかけ離れた人物だったのです。
そんな彼がローマ帝国の権力を片手にポンペイにまで来たのは、彼女を娶る為でもありました。カッシアの父セヴェルスは、娘可愛さに多少のことは多めに見てしまうような、わかりやすい娘大好きな父親でした。
その為悪どいコルブス議員へ娘を渡す事は断じて認めたくありませんでした。これにはカッシアの母アウレリアも同意見でした。ただ、ポンペイを治める者としてコルブス議員をおだてなくてはいけません。
その弾みでちょっとした失言をしたことで、彼はそれをコルブス議員に脅迫されます。結果無理やりコルブスにカッシアを奪われそうになってしまうのです。マイロの視点だけではなく、娘を持つ父母の視点で見ても、彼の悪行は際立っていたのがよくわかります。
現実味がなさそうで、あり得る大災害
映画『ポンペイ』ではダイナミックな自然災害が描かれています。火山の大噴火や大地震、そして大津波がポンペイを飲み込んでいきます。予兆はしばしばストーリーの中で現れ、ついに大災害が発生すると次々に人々を恐怖が襲いました。
グラディエーター達が戦っていた大きなコロッセオは崩壊し、人々は落石に潰されたり、足場が崩れ落ちていきます。カセヴェルスとアウレリア、そしてコルヴス議員もそれに巻き込まれました。
災害の前に貧富の差も地位の高低等は、全く関係ありませんでした。そして映画だからこその表現も多々ありますが、決して現代人にとっても災害は他人事ではありません。現在世界中に頻発する災害を考えると、古代であろうと現代であろうと、時代も関係ないことがよくわかることでしょう。
魅力的な俳優陣と製作者達
映画『バイオハザード』シリーズの監督、ポール・W・S・アンダーソンの製作という事もあって、多くの有名俳優陣達が集まり、どこかで見たことある顔が沢山いる作品となりました。
主役マイロは、キット・ハリントン。『サイレントヒル:リベレーション3D』や『ゲーム・オブ・スローンズ』等で有名な人物です。
カッシア役のエミリー・ブラウニングは『ゴーストシップ』等で有名です。そしてカッシアの父セヴェルスは、同監督作品の『バイオハザードIIアポカリプス』でアッシュフォード博士を演じていました。彼の違った顔を見ることができました。
カッシアの母アウレリア役にはキャリー=アン・モス。彼女を『マトリックス』で知った人も多いのではないでしょうか。『マトリックス』ではネオを助けるトリニティー役としてバリバリに戦っていましたが、本作では貞淑な妻また貴婦人として登場していました。ちなみに彼女も『サイレントヒル:リベレーション3D』に出演しています。
そして最後にコルブス役、キーファー・サザーランド。言わずと知れた名俳優で『24-TWENTYFOUR-』の主人公ジャック・バウアーなら、すぐに皆思い浮かぶことでしょう。本作でも彼が「大統領!」「ちくしょー」と叫ぶのではないかと錯覚しそうなほど、イカツイ顔を見せてくれます。
コルブスとの戦いに勝利するも…
大災害が起きたポンペイでは、人々が我先に避難し、恐怖から逃げようとします。しかし、その大半が命を失っていきます。コルブスも部下と共に逃げる最中、避難する人々が邪魔になってその多くを斬り殺していくほど切羽詰まっていきます。
ですがカッシアを妻にしたい彼は、時に多くの選択を誤ります。自分一人で逃げれば良いものを無理やりカッシアを連れ行った為、マイロの猛追撃を受け、大災害の最中彼と戦う羽目になりました。
最後は彼に破れ、大災害の地に取り残されて絶命してしまいました。とはいえ、マイロとカッシアもその大災害が逃げ切ることはできないと観念します。馬も力尽き、2人一緒に逃げることは叶わなかったのです。
そんな時でも彼らは互いの命を気遣い合います。結局どちらも自分だけが助かることなど考えられず、最後は大噴火に巻き込まれ、抱き合って死んでいったのです。