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暑苦しさが心地よく感じる作品自由人HERO

「自由人(フリーマン)HERO」は月刊少年ジャンプに1994年から1999年にかけて連載された漫画であり、7種族が暮らす世界で英雄となるべく修行を行う人間のヒーローが突如巻き込まれた戦いの中で、秘められた力を覚醒させていき、真の英雄とは何かを学んでいく物語です。

クセしかない数々の登場人物がとにかく暑苦しくも可笑しくて、笑いを堪えるのが大変ですが、その根底には家族愛の気持ちが隠されており、インフレバトル物ではありますが、ヒューマンドラマとして読んでも、充分に読み応えのある物語だと思います。

自由人HEROの作者柴田亜美の他作品

暑苦しい主人公達

物語の中心には7世界とそこで平和を守る各世界の英雄と呼ばれる男達がいます。

その世界は人間界、鳥人界、獣人界、花人界、竜人界、蟲人界、海人界と呼ばれており、互いに影響を与え合っているのですが、前文で書いた通り、ほとんどの登場人物が暑苦しいです。

・子供離れが出来ずヒーローに付きまとう父親

・不幸しか背負っていない独身貴族

・金に汚く人を踏み台にするオカマ

・すぐに裸になり大声で必殺技を放つ兄弟達

と多種多様な登場人物の中で、敵の性格がまともに見えてくるほどです。

しかし、根底ではどのキャラクターも優しさを隠し持っており、時折見せるその素顔に胸も熱くなってきます。

一見、人格破綻している各キャラクターの心情を思い描きながら、物語を追うことが出来るのが、この物語の見どころとなっています。 

 

コメディーから流血漫画に

物語序盤こそは、「自由人(フリーマン)HERO」はコメディータッチで始まりますが、物語が進むにつれて、どんどん血生臭い展開になってきます。
主人公パーティーはヒーロー+各世界の英雄で構成されており、ほぼ最強メンバーですが、毎回勝利後は満身創痍となっており、ラスボスに本当に勝てるのかと疑問。

そんな中、英雄組の中で最強だったヒーローの父親が戦線離脱してしまいます。

パーティーが絶望に包まれた瞬間に開放されたヒーローの力、これまでのどのキャラクターよりも圧倒的な力を放つヒーローの力の正体、そしてヒーロー自身も知らなかった己の正体が明らかになってくる物語中盤の展開。

ここが、物凄くぐいぐいくるので、見逃せない部分です。

バトル風からドラマ漫画へと展開

ヒーローの出生が明らかになってからは、インフレバトルに拍車がかかりますが、同時に暑苦しさはそれ以上にヒートアップしていきます。

ここを境に、登場人物が増えてバトル物からバトル+ドラマ物に見え方も変わってくるため、見どころを見てからは読むのを止めるタイミングに悩んでしまいます。

強さに比例してトラウマを抱えている自由人HERO

お互いが助け合い、そして自身が成長することでフリーマンたちは乗り越えていきます。

笑いあり、涙ありの展開がジェットコースターに乗っているがごとく繰り返される物語は別作である「南国少年パプワくん」ともリンクしているため、両作を通して独特な世界観に浸ってみてはどうでしょうか。

 

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