おおきな木が大好きだった少年。
葉の冠、りんごの実、木陰etc.
少年は、木にいろんなものを与えてもらいます。
木はとっても幸せでした。
だけど、少年が成長していくにつれて、
木は一人ぼっちになることが多くなります。
あるとき、
お金が欲しいという少年に、木は
「りんごをもっていきなさい、ぼうや。
それをまちでお売りなさい。」
と言います。
そしてあるときは、
家が欲しいという少年に
「わたしのえだを切って、
それで家をつくればいいわ。」
と言います。
そんなときでも、
「木はしあわせでした」
ラストはよぼよぼになった少年に、
全てを与え、切り株だけになった木は
こう言います。
「ぼうや、わたしにおすわりなさい。
すわって、ゆっくりおやすみなさい」
どんな自分でも受け入れてくれる、
木と少年は、親子関係に似ているのかもしれません。
村上春樹さん訳がとても切なく、
”無償の愛”という言葉で片付けてしまうには
もったいない秀作絵本です。
休息できる場所はずっとそばにあったはずなのに
忘れてしまった大人に、
「休みたいなら休めばいい」
と教えてくれる絵本のような気がします。