大西洋の大海原…。巨大で豪華な客船ポセイドン号が悠然と航行。大晦日という事もあり、皆が新年を待っていました。
ポセイドンあらすじ
豪華客船ポセイドンには様々な人達が乗っていました。プロのギャンブーのディランや、元消防士にして前ニューヨーク市長のロバート。その娘ジェニファーとその婚約者クリスチャン。またマギーとコナーの母子親子。
他にも、想い人に別れを告げられてしまった老人リチャードや、密航者のエレナ等、心に何かを抱えた人物も。
とはいえ、新年を迎えようと盛り上がるポセイドン号船内。
ポセイドン号の船長ブラッドフォードも、船内のパーティー会場に顔を出し、乾杯の音頭をとりました。
しかし、老人リチャードは絶望しています。そっと1人甲板に出て、柵に乗り出し海を見つめます。一度は死のうと思った彼ですが、ある光景を見て、自然と体が柵から離れ、船内に戻ります。なんと、大波がこちらへ向かって来ていたのです。
ポセイドンの監督ウォルフガング・ペーターゼンの他作品
ドイツの潜水艦Uボートの艦内を舞台にした船員たちの生き残りを描いた戦争映画
いじめられっこのバスチアンが本屋で不思議な本「ネバーエンディングストーリー」と出会い。本の世界の主人公となる。
古代ギリシアのトロイア戦争を元にした歴史戦争映画。
豪華客船に乗りたくなくなる映画ポセイドン!?
「豪華客船=沈没」の公式が、映画ではセオリーのようになっています。時代は違いますが、有名な『タイタニック』もそうです。その恐怖は時代が変わっても同じ。
しかし、本作『ポセイドン』が、『タイタニック』と違うのは、いきなり大波によって横転、転覆させられる所です。
『タイタニック』はどちらかというとジワジワと沈み、一部の富裕層がメインとは言え、脱出の機会がまだありました。
しかし『ポセイドン』には、そんな機会は微塵もなし。
現代の人類の科学を持ってして作られた頑丈で優雅、そして贅沢な巨大な船は、大自然の海の前では、所詮ちっぽけな存在に過ぎなかったのです。
天国から地獄へ、天と地が逆転
側面から巨大な波をもろに受けてしまったポセイドン号は横転し、その衝撃で巨大な船は逆さまに。
しかも中にいた4000人の客のほとんどが横転、転覆時に死亡してしまいます。
人間の体は脆いものです。天地がひっくり返り、その肉体は多くが打ち付けられました。
また、元々「上の階」であったブリッジ(操縦室)は、逆さまになりいち早く浸水しました。
勿論操縦士ら、クルーは死亡。
さらにポセイドン号船内では、本来あるべき姿の物が逆さまになってしまったことで、火災や漏電、崩壊、崩落が発生。
火に包まれたり、感電死によって死亡する人達も沢山いました。浸水している事でより漏電も広がっており、次々に人々は倒れていきました。
何かに押しつぶされた人も沢山いました。外から見た豪華客船は、その見た目はある程度は保たれたものの、内部は新年を迎える幸せな瞬間から地獄へと変わったのです。
天地逆転の恐怖!何故そんな所に!?
地獄へと変わった豪華客船ですが、本当の地獄はこれからです。怪我をしながらも、何とか生き残った人々が立ち上がった時、天地が逆転していることに呆然とし、絶望します。
シャンデリアは床にあり、パーティー会場で使われていたピアノは、天井に張り付いて逆さまにぶら下がっています。
しかもあろうことか生き残ったキャラクターの1人、少年コナーは、そのピアノの隙間(ピアノと、今は天井となった床との間)に取り残されていました。
そんな姿を見た母親マギーは右往左往しますが、そこに元消防士であったロバートが率先して、少年コナーの救出をします。
人を集め、大きなシーツ(布)を広げて、コナーを飛び降ろさせ、見事キャッチしたのでした。しかし、それで終わりではありません。
天地が逆転してしまった世界で、どうやって生き残れば良いか考えなくてはなりません。
生きることを渇望した人々
ディランは今いる場所にとどまることの危険性を理解していました。そこで1人脱出を試みますが、その姿をコナーに見られ、コナーの母マギーや、娘ジェニファーとはぐれていたロバートや、リチャードも彼に付いて行くこととしました。
ちなみにリチャードは、一度は自殺を思い立った人物ですが、生きることを選びます。人間、絶望すると死を望みますが、死を目の前にすると生きようとするのも現実というのがよくわかる姿が彼から垣間見えました…。
そんな彼らは助かる為に、「上」を目指します。といっても今の「上」は船底を意味します。船底から脱出等できないと皆が考える中、ディランはそれが可能である事を知っていました。こうして彼らの脱出サバイバルが始まるのです。
横転時に死んでいた方がマシだったかも…
脱出を試みる彼らを、ブラッドフォード船長は自殺行為として、その場にとどまることを求めました。船長として彼の判断は当たり前の事ながら、その判断は間違っていました。
彼らがパーティー会場を脱出し、「上」(船底)に向かい、しばらくすると会場は見事に浸水しました。頑丈な豪華客船とはいえ、水圧に絶えられず、ついに水の中に沈んでしまいました。
当然船長と残った多くの人々は皆死亡。
では先に「上」を目指した彼らが良かったかというとそうではありません。例えば、自ら案内役となった船員マルコは、逆さまとなったエレベーターでそうそうに命を落としましたし、時に火災の中をくぐり抜けたり、狭いダクトや浸水した船内を泳いだりと、死にそうな目に何度も出会います。
最後には無事船底につくものの、巨大なスクリューに阻まれもします。様々な人々の犠牲の果てに、何とか船底から抜け出て、彼らは生き残ることができたのです。
その恐怖は凄まじく、初めの横転時に死んでいた方がよっぽどマシだったかもしれないと思うほどでした。とはいえ、生きることは生き物の性(さが)。生き延びようと思う人間しか、生き残れなかったのです。